分子整合栄養医学とは

分子整合栄養医学(Orthomolecular Nutrition and Medicine)は、分子整合栄養学、オーソモレキュラーニュートリション、分子栄養学「栄養療法」「分子矯正医学」とも呼ばれ、栄養素を用いて人間の身体を構成する約37兆個の細胞のはたらきを調整し、病気の治療や予防、エイジングケアなどを行う医療です。

栄養士さんが学校で学ぶような一般的な栄養学は、もともと欠乏症の歴史から発展しています。有名なところでは、ビタミンCが足りないと壊血病、ビタミンB1不足では脚気という疾患の原因となります。「足りないとこんな病気になるので、その病気にならないように栄養素を十分に摂りましょう」というのが一般の栄養学です。

一方、分子整合栄養学では、その欠乏症の予防・改善という枠を超え、目的に応じて栄養素の摂取量を増やすことで、より多くの作用を期待します。「病気にならない量」ではなく、1つひとつの細胞が必要とする栄養素の最適な量、適切なバランスを整えることによって、その細胞が正常に機能できるようになることを考えた理論です。

分子整合栄養学とは、ギリシャ語の「正しい」という意味に由来するortho(正常な)と molecule(分子)を組み合わせた”Orthomolecular”というライナス・ポーリング(L. Pauling)博士(1901-1994)(1954年ノーベル化学賞、1962年ノーベル平和賞受賞)が提唱した医療の新しいパラダイムの方向性を示す造語で、私たちの身体の中に正常にあるべき分子(molecule)を至適濃度に保つ(ortho)充分量の栄養素(nutrition)を摂取することによって、生体機能が向上し、病態改善が得られるという理論です。分子整合栄養学は、私たちの身体がもつ本来の力を最大限に引き出し、オプティマムヘルス(単に病気でないだけでなく、心身ともに最高・最善の健康状態)の実現を目指します。