栄養解析

栄養解析とは

自分自身の栄養状態を知るためには様々な方法があります。分子栄養医学として自分自身の栄養状態を知る方法に、以下の2つがあります。
その中で、より的確な結果を得られると考えられているのが、血液検査データより判断する栄養解析です。

検査
血液検査データより栄養学的に栄養素の不足を判断する
問診
質問事項に答えて、その答えからどの栄養不足があるかを推測する

血液検査について

分子整合栄養医学では、分子の異常によって病気が発症すると考えます。 体内の分子の状態を最も的確に反映しているのは血液です。血液を検査すれば、分子の変動をかなり的確に理解できるのです。

血液検査の“基準値”について

血液検査の“基準値”は“正常値”でもないし“安全基準”でもありません。これは単なる統計値です。
たとえば、特定の検査機関が自社の試薬を使って検査をして、検査を受けた方々がだいたいどのくらいの範囲に入るのかということを決めます。 その手続きでは、まず母集団を決めます。たとえば100人なら100人で母集団をつくって、その平均値を算定します。各集団内で数字を出し、さらには全体の平均値を出します。平均値をとって、その平均値から標準偏差の2倍をプラスマイナスします。標準偏差の2倍のプラスマイナスをするというのは、この検査をした母集団、100人なら100人から、その中の95パーセントは大体この中に入るという閾値を出すということです。
ですから、この範囲に入っていれば安全だ、問題がないという考え方は全くの間違いです。けれども、このことについてはまだまだ一般的な理解が少ないようです。

血液検査項目について

血液検査を保険診療で行う場合には健康保険制度の制約があって、医師であっても自由に項目を選ぶことはできません。そこで、“栄養状態を詳しく把握するために必要な検査項目”を自費での採血にて行うことを始めました。1991年のことです。
その中の一つの項目に貯蔵鉄を反映する「フェリチン」がありますが、この「フェリチン」を、これまでに検査をした方々にルーティーンに検査をして来ました。 私たちはこれまで軽視されてきた貧血というコモンディジーズを見直し、フェリチン値を測定することの重要性を確認しました。
「血液中のフェリチンが少ないと精神・神経症状が現れる」ということを科学的に確認し、栄養アプローチによる幾多の改善例を蓄積してきたことは、とても意義のある実績です。 そのデータを全部集めて統計学的に処理して、どのくらいの数値であれば健康と言えるのか、ということを提案し論文にいたしました。

論文情報 (金子法/Kaneko’s Method)

Personalized Nutritional Therapy Based on Blood Data Analysis for Malaise Patients by Minoru Arakaki ,,Li Li ,Toshiyuki Kaneko ,Hiromi Arakaki ,Hiromi Fukumura ,Chihiro Osaki ,Maki Yonamine ,Yoshitaka Fukuzawa Nutrients 2021, 13(10), 3641 https://www.mdpi.com/2072-6643/13/10/3641